殺菌剤には格付けがある

「高度」「中等度」「低度」の三タイプ
殺菌剤(消毒剤あるいは除菌剤と呼ばれるものも含む)は、菌やウイルスに有効な製品が医療や食品衛生の分野で用いられ、最近では一般家庭においてもごく普通に使われるようになりました。ではこの殺菌剤に、作用の強さに応じて格付けがあるのをご存じでしょうか。殺菌剤は作用の強さに応じて、「高度」「中等度」「低度」の三つのレベルに分けられています。「高度」の殺菌剤はその名のとおり、殺菌剤の中でももっとも強力なものです。殺菌剤にもっとも抵抗性を示す細菌芽胞にも殺菌効果を発揮します。高度の殺菌剤は”一般的に”用いられることはありません。主に、芽胞まで殺菌することが必要で、かつ加熱処理ができないような、内視鏡などの医療器具の殺菌処理に用いられます。高度の殺菌剤は、「過酢酸やグルタルアルデヒド」といったものが主に用いられています。

家庭用にも使える殺菌剤

「中等度」の殺菌剤は、細菌芽胞を殺菌することはできませんが、それ以外の菌にたいしては有効な殺菌剤です。もう少し専門的には、芽胞に次いで殺菌剤への抵抗性が強い、結核菌を代表とする抗酸菌に対しても有効な殺菌剤のことを言います。

高度の殺菌剤よりも化学作用が弱いため、器具の殺菌以外にも、ヒトの手指や皮膚の殺菌・消毒にも用いることができるものもあります。「中等度」の殺菌剤の代表例としては、「消毒用エタノール」「次亜塩素酸ナトリウム」などがあり、比較的私たちにもなじみがある殺菌剤です。

「低度」の殺菌剤は、作用が穏やかで刺激も高度や中等度のものと比較して小さいため、主にヒトの手指や皮膚、傷口の殺菌・消毒に用いられます。「低度」の殺菌剤は、芽胞や抗酸菌には効果がありませんが、その他の一般的な細菌には、ある程度有効です。代表例としては、あまりなじみのない名前かもしれませんが、手指消毒剤に配合されている「グルコン酸クロルヘキシジン」や、傷口の殺菌・消毒剤の主成分である「塩化ベンザルコニウム」などがあります。

「石鹸」と「逆性石鹸」は何が違う?

「逆性石鹸」の名前の由来

「石鹸」は手を洗ったり、体を洗ったり、顔を洗ったり、ごく日常的に使われています。では、「逆性石鹸」をご存じでしょうか。

最近には一般的にはあまり使われていませんが、昔は医療関連施設や食品を取り扱うような施設では、手を殺菌・消毒するためによく用いられていました。

逆性石鹸は「石鹸」という名前にもかかわらず、洗浄効果はほとんどなく、その代わりに殺菌効果があります。ではなぜ、逆性石鹸と呼ばれるのでしょうか。私たちがいつも使っている石鹸は、界面活性剤の一種で、水に溶けるとマイナスの電気を帯びます。

このマイナスイオンのことを、日本語では「陰イオン」と言い、石鹸を代表とする、マイナスの電気を帯びる界面活性剤を「陰イオン界面活性剤」と言います。こういった界面活性剤には洗浄効果があるのです。一方、逆性石鹸はと言うと、石鹸と同様に界面活性剤の一種であることには違いありません。しかし逆性石鹸は、水に溶けるとプラスの電気を帯びます。

これを「陽イオン」と言い、このような界面活性剤を「陽イオン界面活性剤」と言います。こういった界面活性剤は洗浄効果はあまりなく、殺菌効果があるのです。このように逆性石鹸は、石鹸とは逆の性質を示します。そのために「逆性石鹸」と呼ばれるようになったのです。

手指を殺菌する最良の方法

この逆性石鹸は、手指の殺菌・消毒のほか、とくに食品を取り扱う施設では器具の殺菌にも用いられています。昔はよく、逆性石鹸が手指の殺菌・消毒に用いられていましたが、一部、細菌や真菌、ウイルスに対して効果が弱いこと、有機物によって殺菌効果が不活化される可能性があることなどから、とくに医療分野では使用されなくなっています。現在は、手指の洗浄や殺菌・消毒をする際には、石鹸を用いて手をしっかり洗い、ペーパータオルで拭いた後、アルコールで消毒するという方法が、もっともよい方法とされています。

(参考記事)
傷口を細菌やウイルスから守る